デジタル革命を、アナログなコンサルタントがまとめてみます(5/5)

デジタル革命について考えるため、3つの問いを設定しました;

デジタル革命での技術的「進歩」とは何か?

その「進歩」で生まれる新ビジネスと、市場へのインパクトは何か?

①②で起こった変化により、「組織の在り方」「働き方」「人材マネジメント」はどう変わるか?

前回のブログでは③の「組織の在り方」の変化について考えてみました。

 

 

 

 

今回は、③の「働き方」「人材マネジメント」の変化です。

「働き方」と「人材マネジメント」は、表裏一体になる部分も大きいです。

 

もう一度、考える出発点は②で考えた市場へのインパクトです;

  • 参加者の増加(個人・小企業の参入)
  • 権威から、皆の信任へ
  • セミカスタマイズ商品(自分向け商品への慣れ)
  • 多品種中量生産(自分向け商品への慣れ)
  • 世界中の企業とのパートナーシップ競争
  • デフォルトプラットフォームへの競争激化

 

 

企業本体のスリム化と社外人材ネットワーク

  • 多品種中量生産(自分向け商品への慣れ)
  • 世界中の企業とのパートナーシップ競争

 

この2点を考えた場合、新たな製品を出し続けるために、必要となる技術、スキルが速いスピードで変わっていくと考えられます。

加えて、その技術やスキルは、中で育てるのでは間に合わず、迅速に世界中を探し回り、適切なパートナーシップを組む必要が出てきます。

 

必然的に、社内で持っておくべき技術やスキル、つまり人材は減ることになります。

おそらく究極的にはその企業のコア技術、スキルを以外は、外から調達するという企業も出てくるのではないかと思います。

 

結果的に多くの企業、特に大企業が、無期雇用の社員(いわゆる正社員)を減らしていくことになると思います。

その代わり、高い専門性や技術力を持ったフリーランサーや小企業が増えていくことになるかと思います。

 

各企業は、それらフリーランサーや小企業とゆるやかに繋がっておこうとするでしょう。

そして、必要な時に声をかけて、都度必要な技術・スキルを獲得するという事業の進め方に代わっていくかと思います。

 

ここ数年、デジタル革命、AIによってなくなる職業がよく取り上げられますが、そこはおそらく大きな問題にならない気がしています。

 

産業革命のときにも機械に仕事を奪られることを恐れて、ラッダイト運動という機械破壊運動がありましたが、結局仕事は減るどころか新たな職業が増えました。

 

むしろ企業のスリム化と、フリーランサーや小企業の増加、そしてゆるやかなネットワーク化ということの方が、良きにつけ、悪しきにつけ、大きな変化でしょう。

 

 

人材の星評価(金持ち&貧乏フリーランサー)

良きにつけ、悪しきにつけとしたのは、その変化によって有利になる人・企業も、不利になる人・企業も両方が出てくるからです。

 

フリーランサーや小企業が増えるというのはまさに、

  • 参加者の増加(個人・小企業の参入)

です。

 

そして、そこではやはり

  • 権威から、皆の信任へ

の変化があり、これらフリーランサーや小企業には星の数がタグ付けされることになるでしょう。

 

その結果、一方では大人気のフリーランサー、小企業が出る一方、まったく人気がないフリーランサーや小企業の二極化が起こることになるかと思います。

 

企業の立場から見れば、人気のあるフリーランサーや小企業とは、必要のない時でも良い関係をを築いておく必要があります。

そうでないといざという時に、ファーストチョイスのフリーランサーや小企業には他の企業(下手をすると競合)との仕事を優先され、頼めないということが往々にして起こる可能性があります。

 

そういった意味では、今までは社内人材のマネジメントだけで済んだものが、フリーランサーや小企業といった社外人材のマネジメントまでしっかりと考えなければならない時代が迫ってきている気がします。

 

正社員は2種類のT型人材

  • 権威から、皆の信任へ

という話でいうと、大きな企業で正社員となる人材も同様です。

 

最近は多くの人が転職サイトやヘッドハンター会社の1つや2つには登録しているはずです。

 

そこではインフォーマルな格付けがされているでしょう。

しょっちゅう声がかかる人もいれば、中々声がかからない人もいるでしょう。

 

さて、「企業のスリム化と、専門性や高い技術力を持ったフリーランサーや小企業の増加」という中で今後、どういう人材が大きな企業の正社員として多くの「星」を獲得できるのか?

 

コア技術を除き、高い専門性や技術力を外に求めるのであれば、正社員には、社内やパートナーシップを結ぶ相手との、様々な調整ができる人材が重用されるでしょう。

 

そういった人材はおそらく、よく言われるT型人材です。

一定程度得意領域の専門性を持ちつつも、それ以外の領域の知識も持ち合わせる人材です。

 

 

 

 

いままでのT型人材は上記の絵のように、領域が「機能」で考えられることが多かったと思います。

しかし、世界中でパートナーシップを結んだり、海外拠点を持つ多国籍企業では、領域に「地理」の軸も必要となってくるでしょう。

 

そのため、今後企業で重用される人材は2つのT型人材になるかと思われます。

 

 

 

 

両方のT型要素を併せ持った人材は希少です。

ですので、企業はこの2タイプのT型人材をチームアップさせながら活用していくことになるでしょう。

 

複数の事業を持つ企業では、事業的T型人材のほうが活躍してもらえるかもしれません。

ただ、こういった人材は外部で見つけるのは難しく、長期の内部育成が必要になるかとは思います。

 

また、新規事業開発に向け、外部のまったく異なる領域の企業と協力する場合も、事業的T型人材が必要となるケースもあるでしょう。

 

ただし、この場合、どのような領域の企業と協力するかわからない段階で、正社員として採用するよりは、成功報酬型の有期契約を結ぶほうが多くなるような気がします。

一定程度他領域の企業との協力が進めば、その領域の知識も内部蓄積できますし。

 

 

企業を基盤としない、ソーシャルセキュリティ

これが最後に挙げる「働き方」と「人材マネジメント」の変化になります。

ただし、この点においては各企業ごとのお話というより、政府の施策がどうなるかという予想です。

 

終身雇用というカルチャーと相まって、高度成長期のスタート以降、政府のソーシャルセキュリティの施策の多くは、企業を基盤としたものでした。

例えば最低賃金の設定や企業年金の枠組みの設定等です。

 

企業本体のスリム化とフリーランサーの増加を想定した場合、フリーランサーは最低賃金の仕組みから漏れてしまいます。

ですから、企業を基盤としないソーシャルセキュリティをどう作るかというのは、おそらく今後の課題になってくるように思えます。

 

例えば、フリーランサーが契約する仕事内容と想定稼働時間と報酬のバランス等が監査されるような仕組みといったものが必要になってくるかもしれません。

 

どれくらいフリーランサーが増えるか(正社員が減るのか)、またどのタイミングで社会が完全にシフトされたと判断するのかは読めません。

ただし、いずれソーシャルセキュリティの枠組みを大きく変える必要性は出てくるのではないかと思います。

 

 

 

 

5回のまとめに代えて、但し書きと予告のようなもの

間違っていても良いと思って考え始めたこのテーマ。

なるべく発想が飛びすぎないように、事例を拾いながら考えてきました。

 

デジタル革命後の世界の大きな潮流みたいなものはある程度拾えたかなあと思っています。

 

ただし、事例を拾ってくる業種、業界が必ずしも一定でなかったのは現時点での反省。

一つの業種、業界に絞ってみた時には、これまで書いてきたことが当てはまらない部分もあるかと思います。

 

業種、業界間の違いは、もう少し自分の理解や考えが進めば、また考えてみたいと思います。

 

さて、くろしお経営は「日系企業海外拠点、外資企業日本拠点の、人事・組織コンサルティング」を生業にしています。

 

それにも関わらず「デジタル革命」という若干遠いテーマを考えてきました。

それはやはり③デジタル革命で起こった変化により、「組織の在り方」「働き方」「人材マネジメント」はどう変わるか?を一回整理したかったから。

 

しかし、今回はテーマを絞るため、「日系企業海外拠点、外資企業日本拠点」という「国を跨る」部分については深く掘り下げていません。

 

すぐ次のブログにするかは決めていませんが、「国を跨る」ということをテーマにブログを書きたいと思います。

その上で、「デジタル革命」x「国を跨る」というテーマも取り扱ってみたいと思います。

 

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