ダイバーシティ経営の必勝メソッド(第1回)

ダイバーシティ経営とは「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営(経済産業省の定義)」のことです。

 

近年、多くの会社が「ダイバーシティ経営」に取り組んでいるかと思います。

積極的に進めている会社もあれば、法律で定められた障害者雇用比率や政府が目標とする女性管理職率に押される形でやや消極的に進めることになった会社もあるでしょう。

 

いずれのケースでも、やるからにはうまくやる必要があります。

むしろ消極的な会社こそうまくやらなければ、障害を持った方や女性、外国人の社員にネガティブな目が向けられるリスクは高い可能性もあります。

 

そこで今回のテーマでは、ダイバーシティ経営の必勝メソッドをいくつか紹介したいと思います;

1.強い共通性を作ることが多様性の近道

2.同一リーダーシップモデルから多様なリーダーシップモデルへ

3.ダイバーシティ部長に一番保守的なおじさん社員を任命

4.レディメイドからカスタムフィットの働き方·ウェルネス

 

1回目の今日のブログではまず1つ目を紹介します。

 

 

 

強い共通性を作ることが多様性の近道

昭和の強い日系企業を振り返ってみると

今やるべきことを考える前に、Japan as No.1と言われた昭和の日系企業いついてちょっと考えてみたいと思います。

この頃の日系企業の強みの一つは、社員の同質性による連帯感≒チームワークにあったと思います。

 

同質性をざっと挙げると;

  • 総合職は全員男性
  • 社員は20歳前後から55歳まで(定年が早かった)
  • 新卒採用、年功的に横並びで昇格(中途採用は少数)
  • 終身雇用が当たり前
  • 20代後半にはみんな家庭を持ち、配偶者は専業主婦
  • 社宅暮らしなので住まいも同じ人が多数

 

バックグラウンドもライフスタイルも似ているから、悩みも似ている、大変さも一緒、一緒に頑張ろうみたいな意識は強かったと思います。

また、バックグランドが似ていることから暗黙的に根本的な考え方も似ているという意識があり、活発な意見が生まれる土台にもなったのでしょう。

 

この同質性による連帯感は、周りの社員がプライベートにズカズカと入ってきたり、恐ろしいほどのピアプレッシャー等の弊害もあったと思いますが、間違いなく当時の日系企業の強みだったでしょう。

 

ひるがえって令和の今、女性や外国人の社員比率が増え、新卒採用の人もいれば中途採用の人もいる、定年延長による年齢差も大きくなってきています。

属性の多様化によって、同質性をテコとした連帯感≒チームワークという強みは消えていくでしょう。

 

 

 

新たな共通性としてのビジョン

けれどもチームワークがない会社は弱いのも事実。

だから様々な属性の人材が安心して働いてもらうためには、同質性に頼らないチームワークを醸成する新たな仕組みを構築しなければなりません。

 

この仕組みの中で最もパワフルだと思われるのが「同じビジョンを信じている」という属性の同質性ではない新しい共通を作ることです

 

 

共感するビジョンがあるという一点によって、それ以外の性別、障害の有無、国籍、宗教、年齢の違いによる不和・不信を乗り越えやすくなるように思います。

 

ビジョンが大切だという経営者は多いです。

しかし連帯感≒チームワークを作る仕組みとして大切だと理解し、機能的にビジョンを使っていくことができている会社は少ないように感じます。

 

そのため、会社の中で機能するビジョンの作り方をこちらのブログでまとめています;

https://kuroshiohr.com/2648/

 

このブログでは、ビジョンを連帯感≒チームワークを作る仕組みという視点で書いてはいませんが、良いビジョンは、

  • 各判断の基準の一つとなり、主体的な行動を促す
  • 新しい事業・商品が発想できる
  • その組織の良い個性として納得感がある

 

といったことを説明しています。

これらはビジョンが多様な人々にとっての新たな共通性になるために、非常に重要なポイントだと考えています。

 

 

 

昭和から引き継いでも良い共通性も

ビジョン以外の、「多様性の中で連帯感≒チームワークを作る仕組み」としては、昭和の「新卒採用」は令和に引き継いでいっても良いのではないかと思います。

 

所属部署以外に「同期」というネットワークを社内に持てることは、セクショナリズムを減らし会社全体のチームワークを醸成する上で大きく寄与しています。

 

そして重要なことは、新卒とし同じプロセスを通って時期に入社じトレーニングを受けたという共通点があることで、ビジョンと同様に様々な属性の違いによる不和・不信を減らすことができる点にあります。

 

 

なお、新卒文化が強いことで、中途採用者が所属組織以外のネットワークに入りにくいということはあるかもしれません。

しかし、だから新卒文化が悪いというのは短絡的な考え方で、中途採用者を早く確実に組織の様々な人的ネットワークと繋がっていける仕組みやプロセスをしっかり作ることが重要だと思います。

 

 

 

まとめ

ダイバーシティ経営を目指すにあたり、多くの会社はまず色々な人材を採用・登用しようという施策に走りがちです。

しかし、の準備として、様々な属性の違いを乗り越えられる強い共通性を作ることがとても大切なのです。

 

 

まずは今回挙げた「共感するビジョン」「新卒」の2つのうち、特に「共感するビジョン」を強力な共通性にするためにどうしたら良いか、各組織で検討されることをお勧めします。