私は2008年から中国で人事マネジメントコンサルタントのキャリアをスタートさせました(中国自体は2006年から滞在)。
それ以来2015年に日本に戻ってきて以降も、中国進出日系企業の支援を続けています。
一方で、帰国後はアセアンを中心としてアジア一帯のプロジェクトの関わりも増えてきています。
その中でよく感じるのが、5年前、10年前、15年前に中国の日系企業拠点が抱えていた課題が、アセアン各国の日系企業拠点で今現在起こっているということ。
逆の見方をすれば、ここ20年間の中国進出日系企業の人材マネジメントをたどれば、アジアの新興国での日系企業拠点が今やるべき取り組みが見えてくるのではないかと思っています。
そこで、今回のブログでは、過去20年の中国を4つのステージに分け、ステージごとに、課題、背景、導入施策、そして本当はやるべきだった取り組みをまとめてみました。
ある意味、私の過去の経験に基づいた反省ノートでもあるわけですが、参考にしていただければ幸いです。
4つのステージ
1. 本格参入期の事業状況、課題、実行施策、本当はやるべきだった取り組み
中国:2000~2005、該当国:バングラディッシュ,カンボジア,ミャンマー
この時期は私はまだ中国におらず、次の成長混乱期から中国進出日系企業のコンサルティングを行っているのですが、ある意味ここでの未解決の課題、次のステージに持ち越された課題に一番苦しめられたとも言えます。
そして、20年前の未解決の課題が、現在まで響いている日系企業中国拠点も少なくありません。
2. 成長混乱期の事業状況、課題、実行施策、本当はやるべきだった取り組み
中国:2005~2010、該当国:インドネシア,フィリピン,ラオス,ベトナム,インド
私が中国にいた前半はまさにこの時期で、喫緊の課題への対応だけでも厳しいというのはよくわかります。
おそらく現在アジア各国にいらっしゃる人事担当の駐在員の方々は相当大変だと思います。
しかしながら、今から振り返れば将来的な課題の原因の排除にも、当時のクライアントと共にもっともっと注力すべきだったと感じています。
3. 高度成長期の事業状況、課題、実行施策、本当はやるべきだった取り組み
中国:2010~2015、該当国:タイ,モンゴル
ある意味、社会も安定してくると共に、日系企業海外拠点も良くも悪くも安定してくる時期です。
その中で悪い安定とは、現地が自立しきれていない状態が、意識、風土まで「当たり前化」してしまう点にあります。
4. 安定成長期の事業状況、課題、実行施策、将来を見据え今やるべき取り組み
中国:2015~現在
20年間も運営できており、それなりに会社は回っている状態なので一見問題ないように見えます。
だからこそ、この段階で各ステージで未解決の原因を解決しようとするのであれば、意識改革も含めた大きな変革が必要になります。
まさにこれが今の中国進出日系企業に多く見られる課題です。
新型コロナ禍の影響で昨年、本年は中国拠点だけが好調の日系企業も多かったように思えます。
しかしながら長期的なトレンドでは、人口ボーナスも終わりを迎え、次の5年は安定衰退期に入る可能性も出てきます。
そのため、本社の意識や注力が別の国・市場に移る企業も増えていきます。
その中で日系企業の中国拠点は、自社は成長トレンドを継続できるような一層の努力が求められているように思います。
まとめ
すべての国の日系企業拠点が中国拠点と完全に同じステップを歩むわけではもちろんないでしょう。
しかしながら、共通する部分も多くあるというのも事実です。
アジア各国で頑張っている駐在員の方々や、本社から海外拠点のマネジメントに関わる方々に、羅針盤として是非参考にしていただければと思います。
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