グローバル人事:キホンの『キ』 (第1回)

グローバル人事の領域と目的を把握する

 

「グローバル人事」という言葉は、日系企業で人事に関わる人たちの間では既に一般化していると思います。

一方で「グローバル人事」が具体的に何を指すのかが、話す人によってバラバラのように感じます。

 

今回から全3回のブログでは、まず「グローバル人事」に関わる領域を明確にします。

その上で、海外に事業展開している組織、今後しようとしている組織がどのように「グローバル人事」の施策を構築・運用していくべきか、基本的なポイントを解説していきたいと思います;

・グローバル人事の領域と目的を把握する(第1回)

 

・グローバル人事の施策を適切に選択する(第2回)

 

・施策のフォーマットを考え、運用体制を整える(第3回)

 

 

グローバル人事の領域を大きく分けると次の3つに集約されます;

①海外拠点個別では対応できない海外拠点に関わる人事

 

②本社、海外拠点全体の人事関連のリスク回避と共通アセット構築

 

③グローバル共通の取り組み施策を効率的に進める上での人事施策

 

 

これらは本社や地域統括の人事が主導し、各海外拠点の人事の力を借りながら施策を構築したり、運用していったりします。

 

個別の海外拠点の人事活動は、グローバルではなく海外のローカルのこととして、「グローバル人事」とは別物として考えます。
別物として一旦考えることによって、本社人事が担うべき領域と各海外拠点が担うべき領域の切り分けを考えやすくなります

 

グローバル人事は先に挙げた①~③に集約されるわけですが、これらの施策構築・運用をそもそも行う目的は何でしょうか?

 

グローバル人事に関わらず、人事領域における様々な施策・活動の目的は2つの側面があります。

1つは、その組織に所属する人々(個人)の仕事に対する期待を充実していく側面

もう1つは、所属する人々の力を組織が事業を創出・推進する力へ転化する側面です。

 

この2つの側面を細分化&図式化するとこんな感じです;

 

 

個人が仕事に期待することは意義、成長、安心感のミックスです。

組織が個人から期待することはアイデア、遂行能力、コミットメントです。

このミックスの塩梅は個人、組織それぞれのその時の状況(ライフステージや事業環境)に応じて変わるわけですが、いずれも総和を最大化していくことが人事の仕事になります

 

その上で、施策・活動の目的が個人にも組織にも向かっている(両方にとってメリットがある)ことが非常に重要です

 

組織の視点だけの施策の目的では、所属する人々のモチベーションの低下や離職リスクは高まります。

逆に個人の視点だけでは事業は成り立ちません。

 

以上を踏まえた上で、私が関わってきた過去のプロジェクトを思い起こして主なグローバル人事の目的をざっとまとめました;

 

 

先に述べたように目的が個人にも組織にも向かっていいることが分かると思います。

 

もっとも、両方の目的を同時に思いつくということはそうありません。

例えば、1のプロジェクトでは「歴史が長い拠点での社員のキャリアが頭打ちになっている」という課題が出発点だったとします。

社員にはもっと活躍してほしいわけですが、その拠点内では適切な役割が見つからない。

その中で、歴史が浅い拠点でノウハウや技術を教える人として活躍してもらってはどうかという事業上の目的を見つけていくといったパターンというのは考えられます。

 

このように個人に向かった目的から考えてもらっても良いですし、組織に向かった目標が出発点になっても良いと思います

いずれから考えていくにせよ、両面の目的をしっかりと抑えることが重要です。

 

グローバル人事の目的はここに挙げたものがすべてではないですが、参考にしていただければと思います。

「ジョブ型人事制度」や「ジョブディスクリプション」、「グローバルグレーディング」等の施策の言葉が先に立ってしまい、目的を見失ってしまっている組織も少なくないように感じます。

当たり前のことですがキホンの『キ』のひとつは、適切な目的があってこその施策ということです。

 

さて目的と領域を抑えた上で、次回は具体的にどのように施策を考えていけばいいかを解説します。

 

グローバル人事:キホンの『キ』 (第2回)